北海道の「さっぽろ雪まつり」
北海道の「さっぽろ雪まつり」
「さっぽろ雪まつり」の見所
雪像ができるまで
大通公園への雪の搬入(2005年1月18日)
大通公園を彩る大雪像の準備は前年の秋ごろから行われ、制作を担当する陸上自衛隊や市民ボランティアの雪像制作団体によって雪像のモデルとなる建造物などの資料の収集や必要に応じて現地の視察などが行われてデザインが検討される。その後粘土や木材などを使って精巧な模型が作られ、12月末に行われる実行委員会の会場で公開される。
雪像に使う雪は不純物のない純白なものが求められ、札幌近郊のサッポロさとらんどやモエレ沼公園、石狩湾新港などから集められる[2]。降雪が少なく近郊での確保が難しい場合は、採雪地の範囲を中山峠や千歳市のオコタンペ湖畔などの山間部まで広げることもある。雪不足だった2007年の第58回では、採雪地を求めて陸上自衛隊のヘリコプターも出動した。大通公園で使用される雪は5トントラックでおよそ6,000台分で、正月明けの1月7日ごろから1月中旬にかけて札幌市内では「雪まつり雪輸送」のプレートを掲げた陸上自衛隊のトラックが雪を山積みにして走っているのを見ることができる。大通公園の大雪像制作に民間が参加してからは民間のダンプカーも輸送に加わるようになった。
運ばれた雪は重機によって高く積んで押し固められ、削るのに必要な巨大な雪のブロックが作られる。足場も組まれ、さながら建築現場のようである。そこから先の雪像制作方法はそれぞれの雪像制作団体で独自の技法やノウハウがあり異なるが、主にブロックをスコップなどで荒削りをして大体の形を作り、さらに細かく削って細部を作り、最後に「化粧雪」と呼ばれる新雪を貼り付けて仕上げる。小さい部品などは別にパーツとして作って取り付ける。制作作業は重機や刃物などが使われ危険なため、大通公園への立ち入りが一部で規制される。このため間近での見学は難しいが、敷地外の公道から様子を見ることはできる。
雪像の制作にはほぼ1か月を要し、完成して実行委員会に引き渡されるのは雪まつり開幕の前日である。開催中は係員が会場に常駐し、雪が降って積もった場合は雪払いを行い、融けたり傷んだりした場合はその都度補修するなど、絶えずメンテナンスを行って雪像の美しさを保っている。痛みが激しい場合は夜を徹しての補修作業も行われる。
市民雪像の制作期間は開催直前の5日間で、あらかじめ用意される2メートル四方の雪山を削って作られる。細かいルールが設けられていて、規定サイズ以上のはみ出しや文字入れなどは認められない。デザインはその年の干支や流行、時勢を反映したものから、地元スポーツチームのマスコットや有名なアニメ、道内に生息する動物、ゲームのキャラクターなど様々で、短い制作期間ではあるが大雪像に劣らないほどの仕上がりを見せたり、遊び心のある風刺が効いた作品も多い。
すべての雪像は、倒壊などの危険防止のため雪まつり閉幕の翌日には重機ですべて解体され、姿を消す。解体後に発生する雪山はしばらく公園に残され、一部がソリ遊び用などに再利用されるが、札幌市内の排雪作業が一段落する3月上旬にトラックで運び出され、大通公園に春を呼ぶ準備が始まる。